信託

信託Ⅵ

こんにちは。司法書士の三輪です。
寒いですね。暖房をつけようかと迷う日です。

さて、本日も家族信託についてです。

先日の事例を今回も使用します。
委託者の父親(70歳)が、受託者の息子(45歳)と信託契約をし、受益者を委託者である父親とした場合。信託財産は父親所有の賃貸マンション。すなわち、父親が息子に自分の賃貸マンションの管理を任せ、息子は賃貸マンションを管理し、賃貸マンションから得られる賃料収入を父親に渡す形態です。

この事例は委託者が父親、受益者も父親のパターンです。これを自益信託といいます。
自分の財産を受託者に託して、その財産から生じた成果については、委託者自らが給付を受けるものです。

これに対して、委託者と受益者が異なる信託のことを、他益信託といいます。
この他益信託の場合は、委託者と受益者が異なるため、委託者から受益者に経済的価値が移動します。
そのため、受益者には贈与税が課税されることになります。受益者が実質的は経済的価値を享受するからです。

また、自己信託といって、信託による財産の移転はなく、ある時点から、自分の所有する財産は他人のための所有であると宣言するものもあります。
それと、受益者が存在しない目的信託もあります。受益者が存在しないため、受託者は受益者の利益のためではなく、信託の目的に従って、管理・運用・処分を行っていきます。例えば信託財産を難病指定された患者さんの治療費に充てて欲しい場合に利用できます。

家族信託で利用するのは、大部分が自益信託か他益信託となります。

信託Ⅴ

こんにちは。司法書士の三輪です。
10月も終わりですね。
いよいよ年末に突入です。今年はあれやこれやと早めに準備しようと思う今日この頃です。

さて、本日も家族信託についてです。
前回の例を本日も使用します。
委託者の父親(70歳)が、受託者の息子(45歳)と信託契約をし、受益者を委託者である父親とした場合。信託財産は父親所有の賃貸マンション。すなわち、父親が息子に自分の賃貸マンションの管理を任せ、息子は賃貸マンションを管理し、賃貸マンションから得られる賃料収入を父親に渡す形態です。

父親が認知症になった時に備えて家族信託を利用すると書きました。
ここをもう少し細かく見ていきます。
我々の日常生活は、すべて契約で成り立っています。
例えば、物を買うとういう売買契約、家を借りる賃貸借契約、預金を預入れ・払戻しする(預金契約)など、父親が認知症になってしまうと判断能力の程度によりますが、これらの契約を行う事ができなくなります。

では誰が代わりに契約をするか?とういう事ですが、このような方のために成年後見制度があります。
本人の代わりに後見人が家庭裁判所より選任され、後見人が裁判所の監督下のもとで代わりに財産管理を行います。

ただし、あくまでも後見人は父親のためにしか財産を使うことができないという制約を裁判所監督下のもと受けます。
財産の投資運用や処分、相続税対策などは原則できなくなります。
後見制度自体は、素晴らしい制度でこの制度でたくさんの方の財産が守られている事は事実ですが、ケースによっては対応が難しくなる場合もあります。

その場合に、父親の財産を信託財産とし、息子さんを受託者にして、信託契約に従い息子さんに柔軟な財産運用をしてもらうことができるのです。各人様々な事情がありますが、ケースによってこの信託が非常に有効になるのです。

信託Ⅳ

こんにちは。司法書士の三輪です。
昨晩名古屋では雨が降っておりましたが、久しぶりの雨音でした。

さて、本日も信託の続きです。

昨日の事例です。
委託者の父親(70歳)が、受託者の息子(45歳)と信託契約をし、受益者を委託者である父親とした場合。信託財産は父親所有の賃貸マンション。
すなわち、父親が息子に自分の賃貸マンションの管理を任せ、息子は賃貸マンションを管理し、賃貸マンションから得られる賃料収入を父親に渡す形態です。

この場合、賃貸マンションの登記名義は父親 ➡ 息子に移転します。
所有権は息子に移転しましたが、賃貸マンションの登記簿には、「この賃貸マンションは信託財産ですよ」と記載されます。
そして、この賃貸マンションからの賃貸収入を受ける実質の所有者が受益者であり、今回のケースでは父親となります。

「所有権=管理・処分する権利」と「受益権=経済的価値」が受託者と受益者に分ける事ができます。
受託者に所有権(管理・処分する権利)がありますので、例えば父親が認知症になり、意思能力を欠く状況になっても、信託契約に従い、受託者である息子さんが父親の介護費用に賃貸マンションを売る事もできますし、そのまま賃貸マンションの管理を続けることも当然できるのです。

この受託者に信託銀行がなるのが、商事信託、家族がなるのが、家族信託です。

信託Ⅲ

こんにちは。司法書士の三輪です。

本日も信託の続きです。
信託契約の当時者をおさらいしましょう。
委託者 ➡財産を預ける人
受託者 ➡財産を預かり管理・処分する人
受益者 ➡財産の実質的な所有者

委託者の父親(70歳)が、受託者の息子(45歳)と信託契約をし、受益者を委託者である父親とした場合。信託財産は父親所有の賃貸マンション。
すなわち、父親が息子に自分の賃貸マンションの管理を任せ、息子は賃貸マンションを管理し、賃貸マンションから得られる賃料収入を父親に渡す形態です。
委託者は父親で賃貸マンションを預ける人
受託者は息子で賃貸マンションを管理する人
受益者は父親で賃料収入を得る人

これをしてどこにメリットがあるか?

例えば、信託契約をしないでいる間に、
父親が認知症になり、意思能力を欠く状況になってしまったらどうでしょう?
父親の介護が必要になり、介護施設に入所しようにもお金が必要です。
銀行の預金を引き出す事もできませんし、まとまったお金を作るために不動産を売却する事もできません。

ここで、成年後見制度を利用し、裁判所の監督下でこの硬直した状況を動かすことはできます。
しかし成年後見制度だけでは柔軟に対応できない部分もやはりあります。
そういう時に信託契約をしておけば、財産運用を柔軟に行うこともできるのです。

信託Ⅱ

こんにちは。司法書士の三輪です。

本日も信託についてです。

信託と聞くと信託銀行を連想されると思います。
TVコマーシャルでもバンバンやってますから印象に残っていると思います。

信託には大きく2つに分けられ、「民事信託」と「商事信託」があります。
商事信託とは、信託銀行等が行っている営利目的の信託の事です。
営利目的で行うためには、信託業法の免許、登録を受けていなければなりません。

民事信託は、営利目的でない信託の事を言います。
そして、「民事信託」のなかでも、財産を預かる受託者が財産を預ける委託者の親族である場合を「家族信託」といいます。

家族の財産を家族の希望に添って家族で管理・承継するための枠組みを作りなのです。

実に素晴らしい理念の枠組みだと思いませんか。
次回からもう少し詳しく見ていきます。

信託

こんにちは。司法書士の三輪です。
今日は冷えましたね。一気に紅葉も進むんではないでしょうか。

さて、本日は信託についてです。
以前もブログで紹介しましたが、引き続きです。

信託ですが、最近注目を浴び、動きが活発になりつつあります。
平成27年の相続税改正により、相続に対する世間の注目が高くなっていますが、遺言や相続税対策とは別で、新たな相続対策としてこの信託が注目されているのです。

信託法が平成18年に改正され、相続対策としても信託が活用できるようになったのです。

信託とは、財産を持っている人(委託者)が、自分が信頼する人(受託者)に財産を託して、定められた目的にしたがって財産を管理・処分してもらい、財産から得られる利益を定められた人(受益者)へ渡す仕組みのことを言います。

信託の始まりは中世ヨーロッパでの、「十字軍」だと言われています。
戦場に行く兵士(委託者)が、戦場に行く前に、信用のおける友人(受託者)に土地や財産を託し、兵士の家族(受益者)が困らないように運用して収入を家族に与える仕組みのことです。

なんだか便利なシステムなような気がしますよね。
これから少しづつ解説していきます。

信託④

こんにちは。司法書士の三輪です。

本日も信託のお話しです。

信託の登場する場面はいくつもありますが、誰にも身近事例として「福祉型信託」があります。

それは、認知症になり、自らが意思表示できなくなる事を想定して、その人の財産管理をして生活基盤を安定させることを目的として行います。

例えば、知的障害のあるお子様の将来のために、財産を信託し、親御さんが認知症になってしまってからも適切にお子様のために財産管理を受託者に行ってもらう場合です。受益者はお子様です。

ここでは、法定後見制度というものがあり、知的障害のお子様に後見人を選任し裁判所の監督のもと財産管理する方法が考えられますが、兄弟がいらしたり、財産が多額の場合は複雑に各制度が絡み合ってきます。

そういう場合に、信託をし契約で、先の先まで決めておくことにより、親御さんも安心して生活できると思います。
信託契約は千差万別です。100人相談者いれば、100通りの契約ができあがります。事例をもとに最善の策を組みあわせる事ができます。

お困りや不安な事がある方は一度相談していただければと思います。

信託③

こんにちは。司法書士の三輪です。

随分と秋めいてきました。季節の変わり目ですので風邪などひかれないようにご注意ください。

さて、本日も信託のお話しです。

信託の定義をおさらいです。
信託とは、財産を有する者(委託者)が、自己又は他人(受益者)の利益のために、当該財産(信託財産)の管理・処分を管理者(受託者)に委ねる制度です。

何故この制度がいいか?

自分が死んだ後の事まで、今契約で定めることができるからです。

例えば「遺言」と何が違うか?

「遺言」も、【信託】も健常時にのみする事ができますが、「遺言」は自分が死んだ後に効力が発生し、遺言執行が終了した時に手続きがすべて完了してしまいます。という事は、遺言者の意思は1回分しか残せません。

具体的には、遺言者(父親)が息子に遺言でビルを相続させる。という遺言は書けますが、息子が遺言執行でビルを相続した後、その息子が亡くなった後の相続人までは指定できません。息子が相続した後は、息子の意思で誰に相続させるかが決まってしますからです。

【信託】では、自分が生前中から効力を発生さえる事もできるし、受益権という形で息子の次の相続人まで指定することができるのです。
自分が死んだら長男に、長男が死んだら次男に受益権を承継させる事ができるのです。ここに長男の意思は関係してきません。

信託②

こんにちは。司法書士の三輪です。

本日も民事信託の続きです。

信託は、受託者が信託報酬を得るために行うものかどうかという観点から、2つに分類することができます。
1.「商事信託」といい(「営業信託」ともいいます)、受託者が信託報酬を得るために業務として行う信託で、信託業法の制約の下、信託銀行や信託会社が行うものを指します。

2.「民事信託」といい、受託者が信託報酬を得ないで行う信託(=非営利信託)で、信託業法の制限を受けませんので、受託者は個人でも法人でも誰でもなることができます。

民事信託とは、信託銀行や信託会社が行うべきものではなく、 我々一般の人々が“財産管理の一手法”として利用できる仕組みなのです。

「民事信託」の中でも、家族・親族を受託者として財産管理を任せる仕組みを「家族信託」と呼んでいます。

信託①

こんにちは。司法書士の三輪です。

秋晴れが続く時期ですね。運動会のシーズンでもあります。私も娘たちの運動会で走る日が来るはず(3~5年後)なので、その時は20代のパパたちをぶっちぎりたいと思います。

さて、本日は信託についてです。
聞きなれない言葉だと思います。信託銀行が想像できますよね。

制度のおおまかな説明としては、ご自身の財産の管理・運用を人に任せ、そこから生まれる利益を特定の人に与える制度です。

TVコマーシャルで信託銀行が宣伝しておりますが、ここで紹介するのは、民事信託といい個人間ででいる信託です。

信託は委託者(財産を任せる人)と受託者(財産を任せられた人)との間の契約です。
この2者間の契約ですから、比較的自由に契約内容を定めることができるのです。

自分が死んだ後の事まで、今契約で定めることができるのです。

受託者に任せられた財産は信託財産となりますので、受託者の個人財産とは切り離されますので、相続の対象にもなりません。

ここがポイントなんです。